シリーズ★和ハーブ協会上位資格者インタビュー★
今回のゲストは・・・
小薗 怜奈 さん《地域おこし協力隊/第32期 和ハーブインストラクター(2023年2月取得)》

大阪府出身。岡山県在住。二十代。
大阪の都心で育ち、子どもの頃は特に自然に対して特別な意識はもっていなかったという小薗さん。料理が好きで居酒屋につとめていたときに、「薬味」の魅力にはまったことがきっかけとなり「和ハーブ」に導かれたそう。現在は、地域おこし協力隊として岡山県西粟倉村で暮らしながら、ご自分のお店で地元の「和ハーブ」をメインで活用していくことを目指し日々奮闘されています。
今回は「和ハーブインストラクター」を取得された経緯や現在の暮らし・将来像についてお話をうかがいました。
# 「薬味」への興味がきっかけとなり、「和ハーブ」に辿り着いた
――― これまでの経歴についてお聞かせください。
大阪の都会で生まれ育ち、田舎に行けば「空気が美味しいな」と思うくらいで自然が取り立てて好きだとは意識していませんでした。飲食、特にお酒が好きだったので、大学卒業してからは和歌山のクラフトビール会社に就職し、その後も居酒屋での仕事を続けてきました。

――― 都会育ちなのですね!なにがきっかけで和ハーブに興味をもったのでしょうか?
お酒が好きという流れで“薬味”にずっと注目していました。料理を提供するときに薬味はいつも脇役、メイン料理の引き立て役で使われているので、「薬味をメインとして使うことができたらいいのにな」と常々考えていました。「薬味の資格とかあるのかな?」と色々調べているうちに和ハーブにたどりつきました。
――― 面白い流れですね!
はい、勉強のモチベーションとして、ただ学習するよりも資格を取得したいと思っていたので、まずは2022年の夏に「和ハーブ検定」を受けて合格後に「和ハーブインストラクター養成講座」に申し込みました。当時も居酒屋で仕事をしていて、いずれは開業したいと思っていたので、資格が役に立つと思いました。
――― 「和ハーブ検定」の勉強はどのようにされたんですか?
普通に書き写して暗記、学校と同じように勉強しました。(笑)あとは、植物の絵を描いてそこに説明をそえたりして自分の中にしっかり知識を落とし込めるような工夫もしたことを覚えています。
# 「和ハーブインストラクター」の資格を取得後、地域おこし協力隊として本格的に活動を開始
――― 2023年、年明けに大阪から東京銀座の会場まで「和ハーブインストラクター講座」を受けに来てくだり、熱心に受講されていた姿が印象的でした。講座で印象に残ったことはありますか?
私は、和ハーブのなかでも「食」にずっとフォーカスしていたので、歴史や効能、生化学など、食以外にも総合的な知識を学べたことが新鮮で面白かったです。自分以外に和ハーブが好きな人たちと講座で話せたのも刺激になりました。
「和ハーブ」というと自然派やヴィーガンとか、そういう感じの方が多いのかな?というイメージがありましたが、実際講座に参加してみるとみなさんのバックグラウンドが様々で、例えば料理に関していうと「ジビエと和ハーブの相性の良さ」という視点を持っている方がいたり、「魚と和ハーブの相性」について講師が話をしてくれたりしたので、良い意味で意外で、バランスよく学ぶことができました。

――― 資格を取得してからは、どんな活動をされていますか?
去年の8月から、岡山県西粟倉村の温泉宿泊施設のオーナーさんとつながったことをきっかけに、「和ハーブのある暮らし」を実践するため思い切って西粟倉村に移住しました。
去年の12月に地域おこし協力隊の試験があり、無事に合格してこの4月(取材時2024年5月)から正式に着任しました。「お酒✕和ハーブ」をテーマとして、単なる薬味としてではなく「和ハーブ」をメインにあつかった飲食店をひらいて村の地域復興に貢献したいと考えています。
ただ、やはり移住者として新事業を立ち上げることは地元の方の理解や協力を得る必要があるため、ハードルは感じています。今日も実はすすんでいたプロジェクトがひっくり返ってしまい、またイチから考えなおすことになったところです。
お店のためには和ハーブの安定的な仕入れなど考えることが山積みで、任期中にどこまで事業として成立させられるか、リサーチしながら作戦をねっています。

――― 難しいことも多いと思いますが、行動を積み重ねてひとつひとつ丁寧に向き合っていらっしゃるんですね。小薗さんはまだ二十代半ばで、「和ハーブ」というジャンルにピンとくる方の中では珍しいなと思うのですが、周りの方に「和ハーブ」について話すとどんな反応がかえってきますか?
最初は聞き慣れないというか「シソとか・・・?」という反応が多いですね。
「野草」とか、他の言葉だとどうしても「雑草」とか、「昔の人」というイメージを持つ人が多い印象がありますが、「和ハーブ」という言葉はオシャレな感じもあるので、少し話せば同年代の友達もすぐに興味を持ってくれる人が多いです。
今住んでいる村には身近に植物に興味を持っている人もけっこういて、自然に植物に意識が向いている感覚です。

# 料理に特におすすめの「和ハーブ」
――― 小薗さんは普段和ハーブを使って色々な調理にチャレンジしていると思いますが、料理におすすめの和ハーブがあれば教えて下さい!
ヤマトトウキは個人的に好きな和ハーブです。体が温まるのをダイレクトに感じます。ドライにして鰹節とか甘辛くしたものと混ぜておにぎりにしたり、お茶としても飲んだり普段から取り入れています。タイ料理とか癖がある料理にもなじみますが、好き嫌いが分かれる和ハーブかなと思います。
身近にあって、なんにでも取り入れやすい食材としてはやはりヨモギだなと思います。数年前、沖縄で食べたヨモギ入りのヤギ汁の美味しさが未だに忘れられません。甘いものにも合うし、肉にも合うし、万能です。和ハーブ興味があって食材に取り入れたい人はまずはヨモギからスタートすると良いと思います!

――― 「和ハーブインストラクター」の資格取得に興味をもっている方にメッセージをお願いします!
私は食べることにフォーカスしているけど、興味によって様々なアプローチができるのが和ハーブの魅力だと思います。昔の人が支えてきてくれた植物文化という新たな視点を知ることが日常が豊かになりますし、今後の生活の中で実践的に使っていくこともできるので、悩んでるんだったら飛び込んでみるのが良いのではないでしょうか!
――― 行動派の小薗さんらしいアドバイス、ありがとうございます!最後に、どんな将来像を描いているか教えていただけますか?
私自身、都会で育ってきたので、都会の高いビルに囲まれて生活しているような子どもたちにも身近にある植物を知ってもらえるようになったらな、という思いがあります。そういう世界ってきっと社会も人の心も豊かだと感じるので、私自身の今後の活動を通して少しでもそんな世界につながっていったらと思っています。
《編集部より》
ご自身の豊かな感性と行動力で、「和ハーブ」をメイン食材としたお店をひらくため奮闘している小薗さん。失敗を恐れず、アイディアを形にしていくために様々なチャレンジをつみかさねていらっしゃる姿に勇気をもらいました。
小薗さんの活動を知って、励まされる同年代の方も多くいらっしゃることと思います。
地域おこし協力隊としての任期はまだ始まったばかりで、これからどんな未来が待ち受けているか、ワクワクしますね!
小薗さんのオリジナリティーあふれる和ハーブ料理をいただける日を楽しみにしています!
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